ベルを連れて散歩してると、たまにすれ違う人の空気が変わる瞬間がある。「うわ、ドーベルマンだ」みたいな、ちょっと身構えた感じ。実際のベルはただの甘えん坊で、俺の膝に乗ろうとしてくるだけなんだけど。
なんでこの犬種、こんなに”怖い”イメージがついてるんだろうと思って調べてみたら、血統でも性格でもなく、映画やドラマが作った部分がかなり大きいことが分かった。今日はドーベルマンの歴史に残る有名な犬たちを追いながら、そのイメージがどう出来上がったのか整理してみる。

まずはエレガントな方の顔:ドッグショーのスター犬たち
ドーベルマンには、実は「気品の象徴」として扱われてた時代がある。1939年、アメリカで一番権威のあるドッグショー「ウェストミンスター・ケネルクラブ・ドッグショー」で、Ferry v. Rauhfelsen of Giraldaという名前のドーベルマンが、出場した全犬種の頂点「ベスト・イン・ショー」を獲得した。
さらにすごいのが、1952年と1953年に2年連続でベスト・イン・ショーを獲ったRancho Dobe’s Stormという犬。生後16ヶ月で初めて出た大会でいきなり犬種代表に選ばれて、その後出場した25回の大会すべてで負けなしという記録を残してる。ドーベルマンが「洗練された血統書付きの犬」というイメージを背負ってた時代が、確かにあったってことだ。
次に”タフな番犬”のイメージを決定づけたテレビドラマ
ところが1980年代、アメリカの人気テレビドラマ「マグナムP.I.」に、ゼウスとアポロという名前の2頭のドーベルマンが登場する。屋敷の主人ヒギンズが可愛がる番犬で、劇中では「ジ・ラッズ(相棒たち)」と呼ばれてた。実際には撮影の裏で何頭ものドーベルマンが交代でこの役を演じてたらしいけど(Magnum Maniaに詳しい記録が残ってる)、視聴者の記憶に残ったのは「金持ちの屋敷を守る、賢くて怖いドーベルマン」というキャラクターだった。この番組の影響で、「ドーベルマン=豪邸を守る番犬」というイメージがかなり定着したと言われてる。

そして映画が”悪役”のイメージにとどめを刺した
1972年には「The Doberman Gang」というコメディ映画がアメリカで公開された。銀行強盗のために特殊訓練を受けたドーベルマンたちが主役という、今考えるとかなり無茶な設定なんだけど、これがシリーズ化するほど人気だった。
さらに1997年のフランス映画「Dobermann」は、犯罪グループのボスが自分をドーベルマンになぞらえるという、かなりハードな犯罪アクション映画。タイトルからしてもう、「ドーベルマン=危険な犯罪者」のイメージを世界に広めた作品と言っていい。
品評会のエレガントな犬から、テレビの賢い番犬、そして映画の悪役まで。この振れ幅の大きさが、そのまま「ドーベルマンって結局どんな犬なの?」っていう世間の混乱した印象につながってるんだと思う。
結局、実物は映画よりずっと単純だった
実際ベルと暮らしてみて思うのは、映画やドラマが作ったイメージのどれとも微妙に違うってこと。ドッグショーの犬ほど気取ってないし、マグナムP.I.の番犬ほど四六時中警戒してるわけでもないし、当然映画の悪役みたいに凶暴でもない。普段はソファに乗ろうとしてくる、ただの大きい甘えん坊だ。
だけどこのイメージのおかげで「番犬になりそう」「かっこいい」って選ばれる犬種になってるのも事実だし、その分「見た目で怖がられる」っていう扱いを受けやすいのも事実。有名になった代償を、今の犬たちが払ってる感じもする。
今度誰かに「ドーベルマンって怖くないんですか」って聞かれたら、今日調べたこの歴史の話をしてみようと思う。
ベルの日常や動画はkyokench.comとYouTubeチャンネル「狂犬の正体」でも紹介してる。よかったら見てほしい。


コメント