ドーベルマン、実は「寄せ集め」で生まれた犬種だったらしい

犬の雑学・歴史
2026.08.31|4 MIN READ|DOBERMANN / A BREED BUILT FROM SCRATCH

集金人が「自分を守る犬」を自分で作った話

ドーベルマンっていう犬種、なんとなく「昔からずっといる由緒正しい犬」ってイメージ持たれがちだけど、実は歴史でいうとめちゃくちゃ若い。誕生したのは19世紀後半、たった150年くらい前の話だ。しかも作ったのは軍やケネルクラブみたいな組織じゃなく、カール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマンっていう、ドイツ・アポルダの一人の男。本業は税金の集金人、副業でその町の野犬収容所(いわゆる犬の保護施設)の管理人をやってた人だ。

集金の仕事は、家々を回って現金を持ち歩く。当時のアポルダは治安が良くなかったらしく、山賊まがいの連中に襲われる危険と隣り合わせだったそうだ。じゃあ自分を守ってくれる犬を、自分で作ればいいじゃん、って発想になったのが、ドーベルマンって犬種の始まり。保護施設の管理人だったから、いろんな犬種の血が集まってくる環境にいたのも大きい。

結局、何犬と何犬を混ぜたのか

ここが面白いところで、正確にどの犬種をどう配合したかは、今でもはっきり分かっていない。本人が細かい配合の記録を残さなかったからだ。ただAKC(アメリカン・ケネル・クラブ)などの資料によると、有力視されているのはこのあたり。

ジャーマン・ピンシャー

出典: Wikimedia Commons(著者: Stesi, CC BY-SA 3.0)ー ジャーマン・ピンシャー

ジャーマン・ピンシャーと、当時のジャーマン・シェパード(今のジャーマン・シェパードとは別系統で、この古いタイプはもう残っていない)がベースになり、そこにロットワイラーが混ざって、体の強さと番犬としての気質を持ち込んだと言われている。さらに時代が進んでから、見た目を仕上げる目的でグレーハウンドとマンチェスター・テリア(黒と茶の毛色で有名な小型犬)を掛け合わせたそうだ。

ロットワイラー

出典: Wikimedia Commons(著者: Pedro Simões, CC BY 2.0)ー ドーベルマンの配合に使われたとされるロットワイラー

グレーハウンドは、ドーベルマンのあの引き締まったスマートな体つきとスピード。マンチェスター・テリアは、機敏さと今の黒茶の配色を持ち込んだ、と考えられている。つまりドーベルマンって、守るための強さと、逃げも隠れもしない機敏さを、複数の犬種から一つずつ拝借してツギハギした犬種ってことになる。

グレーハウンド

出典: Wikimedia Commons(著者: Chaoticfluffy, CC BY-SA 3.0)ー グレーハウンド

1863年、アポルダの犬市場でお披露目

1863年、アポルダで開かれた最初の犬市場に、ドーベルマンが作ったこの犬たちが出品された。まわりはフサフサの牧羊犬とか、膝の上サイズの愛玩犬ばっかりだった中で、彼の犬だけ明らかに格が違って見えたらしい。1899年に犬種クラブが発足し、1900年にはドイツのケネルクラブで正式に犬種として認められた。ちなみにドーベルマン本人は1894年に亡くなっていて、犬種としての公認を見届けられていない。その後は弟子筋にあたるオットー・ゲラーたちが改良を引き継いで、今の性格・体型に近づけていった。

今なら絶対できない「やりたい放題」な配合

今のケネルクラブの仕組みだと、犬種って血統が厳密に管理されていて、違う犬種同士を勝手に掛け合わせたら純血のドーベルマンとしては登録できない。でも当時は犬種そのものがまだ生まれる前の話だから、ドーベルマンは文字通り好きなだけ配合を試せた。逆に言うと、今世の中にいる犬種って呼ばれてるものは、大体どこかの時点で誰かがこうやって人工的に組み合わせて作ったものばかりで、ドーベルマンはその過程が比較的最近まで、しかも記録もあいまいなまま残ってる珍しいケースってことになる。

ベルを見てても、この「寄せ集め」感は分かる

うちのベルを見てても、正直この成り立ちには納得しかない。初対面の人にはとにかく威圧感全開で番犬モードに入るくせに、ちょっと本気で走らせるとグレーハウンド譲りとしか思えないスピードで飛んでいく。守るための強面と、無駄のない身のこなし。この二つが一頭の中に同居してるのは、最初から複数の犬種のいいとこ取りを狙って作られた犬種だから、なんだろうなと今回調べてて腑に落ちた。

純血種って言うと、なんとなく一つの血統が大昔からずっと続いてるイメージを持たれがちだけど、ドーベルマンに関してはむしろ逆だ。150年前に、一人の男が「守ってくれる犬が欲しい」という超個人的な理由で、手当たり次第に犬をかけ合わせて作った、かなり人工的な犬種。今のあの見た目も気質も、最初から狙って設計されたものだと思うと、また違って見えてくる。ただの雑種上がりって言われたら、ちょっと否定できないところもあるけど(笑)。

ベルの日常はYouTube「狂犬の正体」でも投稿してるので、良かったら覗いてみてほしい。他の記事はkyokench.comのトップからどうぞ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました