ドーベルマンの頭脳は前犬種の中でどのくらい?

犬の雑学・歴史
2026.08.22|5 MIN READ|DOBERMANN / CANINE INTELLIGENCE

DOBERMANN / SMART DOGS TEST YOU

新しいコマンドを教える時、ベルは大体その日のうちに覚える。正直「俺、犬の躾うまいのかも」とちょっと調子に乗ってたんだけど、調べてみたらどうも違った。ドーベルマンという犬種自体が、そもそも「一発で覚える」ように作られてるらしい。

賢い犬ランキングに、ドーベルマンはほぼ必ず出てくる

犬の知能研究で有名なスタンレー・コレン博士が1994年に出した本では、130犬種以上の中でドーベルマンは上位5位。ボーダーコリー、プードル、ジャーマン・シェパードに次ぐ位置で、ゴールデンレトリバーと並ぶくらいの評価だった。

2023年のAKC(アメリカン・ケネル・クラブ)の記事だと、もっと具体的な数字が出てる。普通の犬が新しいコマンドを覚えるのに25〜40回の反復が必要なのに対して、ドーベルマンはたった5回。しかも覚えたコマンドを一発で成功させる確率も、普通の犬が50%くらいなのに対してドーベルマンは95%だという(参考: AKC)。

数字だけ見ると「ベルが賢い」んじゃなくて「ドーベルマンという型がそもそもそういう設計」ってことになる。ちょっと悔しい。

なぜこんな性能になったのか、答えは名前の由来にあった

ドーベルマンを作ったのはカール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマンという税金の集金人。現金を持って一人で家々を回る仕事柄、自分の身を自分で守れる犬が欲しくて、複数の犬種を掛け合わせて作った。

このとき何を掛け合わせたかが効いてる。ジャーマン・シェパードから警戒心と地頭の良さ、マンチェスター・テリアから反射神経の速さをもらってる、とAKCは説明してる。つまり最初から「のんびり考える犬」じゃなく「一瞬で状況判断して動く犬」を狙って作られたのがドーベルマンってこと。集金人が山道で山賊に出くわした瞬間に「えーと、どうしようかな」なんてやってたら死ぬので、そこは妥協できなかったんだろう。

このへんの生まれの話は前にも記事にしてるので、興味あればそっちも読んでみてほしい。発祥の地に実際に行ってきた話と、そこから枝分かれしたアメリカとヨーロッパのタイプの違いの話。

ただし「賢い」は「育てやすい」の意味じゃない

ここ、結構誤解されてると思う。賢い犬種って聞くと「物分かりが良くて楽そう」ってイメージになりがちだけど、実際は逆の面もある。自分で状況判断する能力が高いってことは、飼い主の指示より自分の判断を優先しがちってことでもある。おまけに頭の回転が速い分、退屈するのも早い。運動だけさせて頭を使わせないと、暇を持て余して余計なことを覚え始める。これは体力を使わせる散歩とは別に、頭を使わせる時間が必要ってことだと思う。

賢い犬ほど、こっちを値踏みしてくる

これ、ベルを見てて一番実感するところなんだけど、賢い犬って「誰の言うことなら聞く価値があるか」を結構シビアに見てる。中途半端な指示を出す人間には、平気で無視を決め込む。これ、性格が悪いとかじゃなくて、賢さの副作用なんだと思う。

実はこれ、感覚論だけの話じゃなくて、ちゃんと実験で確かめられてる。京都大学の研究チームが2015年に発表した研究(Animal Cognition誌)で、こんな実験をやってる。犬の前でエサを2つの容器のどちらかに隠して、人がそのうち片方を指差す。最初は正しい方を指差して、犬はちゃんとついていく。次に、両方の中身を犬に見せた上で、今度はわざと空っぽの方を指差してみせる。つまり「この人、嘘つくことがある」と犬に知らせるわけだ。

そのあとまた正しい方を指差しても、犬たちは前ほど素直について行かなくなった。別の初対面の人が指差すと、また普通についていく。つまり犬は「指差された方向に自動的について行く」んじゃなく、「この人の言うことは信用できるか」をちゃんと値踏みして、信用が崩れた相手には従わなくなる、ということが分かった。

これ、賢い犬種を飼ってるとまさにその通りだなと思う。テキトーな指示、その場しのぎの躾、言ってることが日によってブレる。これをやると、犬の中で「この人の指示は当てにならない」という判断が一回できてしまって、そこから先はなかなか取り戻せない。賢くない犬なら気づかずに流してくれるようなブレも、賢い犬は律儀に覚えていて、ちゃんと態度に出してくる。

だから対策としては単純で、指示は一貫させる、出した指示は最後までやらせる、中途半端に許した日を作らない。これに尽きる。賢い犬を「育てやすい犬」だと勘違いして緩い接し方をすると、その緩さごと見抜かれて、リーダーとして扱ってもらえなくなる。逆に言えば、ちゃんと一貫してさえいれば、賢い分だけ覚えるのも早い。諸刃の剣というやつだ。

ベルの場合

うちのベルも、覚えが早いのはありがたい反面、こっちが手を抜くとすぐ見抜かれる。中途半端な指示や気の抜けたトレーニングだと、平気で無視してくる。賢い犬種を飼うっていうのは、飼い主側も頭を使い続けなきゃいけないってことなんだと、今回調べててあらためて思った。名前の由来まで遡ると「一瞬で判断して動く犬」として設計されたわけで、その判断力の矛先が飼い主自身に向くこともある、ということを忘れずにいたい。


ベルの日常はこっちでも見れます → kyokench.com
YouTubeチャンネル「狂犬の正体」はこちら


補足:

  • 追加した研究元: Takaoka, Maeda, Hori, Fujita (2015) “Do dogs follow behavioral cues from an unreliable human?” Animal Cognition誌(京都大学、犬が人間の信頼性を見て従うかどうかを変える実験)
  • 画像2箇所は元の下書きのまま(実写真の想定なので新規生成はしていない)
  • GitHub(kyokench-blog-workflow)への記録・pushは完了済み

コメント

タイトルとURLをコピーしました