勝手に犬を触って噛まれたら、犬が悪いのか

しつけ
2026.08.08|更新 2026.08.09|7 MIN READ|DOBERMANN / WHO'S AT FAULT

散歩中、知らない人がいきなりベルに手を伸ばしてくることがある。

無言で、まっすぐ頭のほうへ。

「すみません、急に触られると驚いちゃうので」

そう声をかけると、大体は「あ、すみません」で終わる。けど時々、明らかにムッとされる。ただ触りたかっただけなのに、なんで邪険にされなきゃいけないんだ、みたいな顔をされる。

このやり取りをThreadsに書いたら、思ったより反応が大きかった。同じ経験をした飼い主さんのコメントがどんどん増えていって、読んでるだけで結構な時間が溶けた。

無言で触ろうとする人は実際に多いらしい。子どもが勝手に触ろうとして、親が止めないパターン。「噛みます」と伝えても構わず触ろうとする人。突然触られて、犬が驚いて噛んでしまった経験談。逆に、犬のほうが人を噛んでしまって、それがずっと心に残ってるという飼い主さんもいた。

コメントを読みながら、ふと思った。

もし、勝手に触ってきた人をベルが噛んでしまったら、それって誰の責任になるんだろう。

俺は法律の専門家じゃないし、これは脅しでも説教でもない。ただ、この疑問が頭から離れなくなったので、一回ちゃんと調べて、考えてみることにした。

「撫でただけ」は、人間側の感覚でしかない

犬を触ろうとする人のほとんどは、悪気なんてない。かわいいから、ただ触りたい。それだけだと思う。

ただ、犬から見た景色は多分ぜんぜん違う。

知らない人間が、急に距離を詰めてくる。手が頭の上から降ってくる。逃げようにもリードにつながれてて動けない。しかも顔を近づけられる。

これ、自分に置き換えるとけっこう怖い。街を歩いてたら知らない人がいきなり無言で近づいてきて、頭をポンと触られる場面を想像してほしい。相手が優しい人だったとしても、一瞬身構えるはずだ。

海外の獣医療系のサイトでは、あくびをする、舌をペロッと出す、体をこわばらせる、顔をそむける、後ずさりする、といった仕草を、犬が居心地悪く感じてるサインとして紹介している。逆に体の力が抜けていて、しっぽも柔らかく揺れているなら、それはリラックスしてるサインらしい。

とはいえ、これは「すべての犬が触られるのを嫌がる」という話じゃない。人懐っこくて、初対面の人にでもお腹を見せちゃうタイプの犬もいる。ベルはどっちかというと人には慣れてるほうだけど、それでも「今日はちょっとテンション低いな」って日はある。犬にも機嫌ってものがある。

だから一括りにはできない。ただ、少なくとも「この犬が今どういう状態か」を一番わかってるのは、その犬をずっと見てる飼い主だ。触る前にその人に聞くのは、別に大げさなことじゃない。

犬好きなほど、確認せず距離を詰めてくることがある

ちょっと皮肉だなと思うのが、犬が苦手な人は基本的に近づいてこないってことだ。怖いから。

むしろ距離を詰めてくるのは、

「犬大好きなんです」
「昔飼ってたんで慣れてます」
「犬には好かれるタイプなんで」

っていう、犬に自信がある人のほうだったりする。

気持ちはわかる。俺も犬が好きだから、他所の犬を見るとつい寄りたくなる衝動はわかる。

でも「犬が好き」と「目の前のその犬のことを理解してる」は、別の話だ。

過去に何匹も犬を飼ってきた人でも、今目の前にいる犬が今日どんな気分か、初対面の人間にどう反応するタイプかまでは、飼い主本人にしかわからない。「犬に慣れてる」という自信は、確認を飛ばしていい理由にはならない。

むしろ自信のある人ほど距離感の確認を省略しがちで、結果的にヒヤッとする場面を作りやすい、というのは、Threadsのコメントを読んでても結構共感が集まってた話だった。

子どもが犬を触りたがったとき

子どもが犬に興味を持つこと自体は、俺は全然いいと思ってる。むしろ好きになってほしい。

「触ってもいいですか?」

ってちゃんと聞いてくれる子どももいて、そういう時は正直めちゃくちゃ嬉しい。ちゃんと聞ける子どもがいるってことは、誰かがちゃんと教えてるってことだから。

問題は、無言で近づいて触ろうとする子どもを、親が止めないケースだ。

子どもは「知らない犬にはこう接する」ってルールをまだ知らない。それは仕方ない。教わってないんだから。だから、そこを教えるのは大人の役目になる。

これは「犬をしつける」だけの話じゃなくて、「人間側も、知らない犬との接し方を知らないと危ない」っていう話でもある。ドーベルマンみたいな大型犬だと特に、子どもの目線の高さがちょうど犬の顔の高さに近くて、何かあった時の被害も大きくなりやすい。だからこそ、この「一言聞く」を子どもに教えるのは、犬好きの大人が思ってる以上に大事なことだと思ってる。

勝手に触った人を犬が噛んだら、悪いのは誰なのか

ここが今回一番考えたかったところだ。

先に言っておくと、「触った方が100%悪い」でも「飼い主が100%悪い」でもない、というのが調べてみた結論に近い。ちゃんと調べると、そう単純には割り切れないようになっている。

民法718条は何と言っているか

日本の法律では、民法718条という条文が、動物が人に怪我をさせた場合の基本ルールになっている。中身をざっくり言うとこうだ。

動物を飼っている人(占有者)は、その動物が他人に与えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類や性質に応じて、ちゃんと注意して管理していた場合はこの限りではない。

つまり原則は「飼い主が責任を負う」形になってるんだけど、「ちゃんと管理していた」と言えれば、その責任が軽くなったり、免除されたりする余地がある、という作りになっている。

ここで言う「ちゃんと管理」には、リードをつけていたか、犬種や性格に見合った対策をしていたか、周りへの注意を怠っていなかったか、みたいなことが関係してくる。逆に言えば、いくら相手が勝手に触ってきたんだとしても、リードを外して放していたとか、噛み癖があるのを知りながら何も対策してなかったとなれば、飼い主側の責任は重くなる方向に働く。

でも、触った側の行動も見られる

一方で、噛まれた側にも落ち度があるパターンはある。

「触ります」「噛みます」とはっきり伝えたのに無視して手を出した、とか、犬が明らかに警戒して吠えているのに構わず近づいた、みたいなケースだ。こういう時は、噛まれた側の不注意も事故の原因として考慮される可能性がある。

法律の世界には「過失相殺」という考え方があって、事故の原因が両方にある場合、それぞれの落ち度の割合に応じて賠償額を調整する仕組みがある。噛んだ犬の飼い主が機械的に全額背負う、と単純には決まっていない、ということだ。

つまり実際の判断は、飼い主がどこまで注意して管理していたか。触った側がどんな行動を取ったか(声をかけたか、警告を無視したか)。その場の状況(公共の場所か、リードの長さ、犬の様子)。

こういう要素を全部ひっくるめて、ケースバイケースで判断される。「触った方が悪い」「飼い主が悪い」のどちらかに決めつけられるほど、単純な話じゃない。

正直、これを調べてて思ったのは、「どっちが悪いか」で白黒つけたい話じゃなくて、そもそもこの状況自体を作らないのが一番いいよな、ということだった。

守りたいのは、人だけじゃない

事故が起きれば、噛まれた人が怪我をする。これはもちろん一番避けたいことだ。

ただ、それだけじゃない。

噛んでしまった犬にも、「人を噛んだ犬」という事実がずっと残る。近所付き合いに影響が出ることもあるし、その後の飼育や周りとの関係が変わってしまうこともある。犬は自分から「触らないでほしかった」と説明できない。全部、結果だけで判断される立場だ。

ベルはドーベルマンで、大型犬の中でも見た目のインパクトがけっこうある犬種だ。だからこそ、うちでは管理にはかなり気を遣ってるつもりでいる。散歩の時のリードの持ち方とか、人とすれ違う時の距離とか、正直過剰なくらい意識してる自覚がある。

それでも、こっちがどれだけ気をつけていても、相手が予測できない動きをしてくる瞬間はゼロにはできない。だから「触らないでください」じゃなくて「一言、聞いてもらえますか」とお願いするようにしてる。

これは犬を特別扱いしたいわけでも、人を警戒してるわけでもない。噛まれるかもしれない人を守りたいのと同じくらい、噛んでしまうかもしれない犬のことも守りたい、という単純な話だ。

「触っていいですか?」のたった一言

長々と法律の話までしてしまったけど、着地点はシンプルだ。

犬を見つけて、かわいいと思って、手が動きそうになる。その気持ちはすごくよくわかる。

ただ、その手を出す前に一言、

「触っていいですか?」

これだけで防げるトラブルは、思ってるよりずっと多い。

犬が好きな人ほど、この一言を飛ばしがちだったりする。でも犬好きだからこそ、犬の気持ちだけじゃなくて、その犬をずっと見てる飼い主の判断も、ちょっとだけ尊重してもらえたら嬉しい。

それだけで、犬も、触りたい人も、飼い主も、誰も損しない。

同じような経験がある人、逆に「それは考えすぎじゃない?」と思う人も、よかったらコメントで聞かせてほしい。

参考: How to Pet a Dog Properly (PetMD)

ベルの動画はYouTubeチャンネル「狂犬の正体」で見れるので、よかったらのぞいてみてほしい。ブログのトップはこちら。

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